水の電気分解:酸素と水素を生み出す
火星の水を効果的に酸素に変換する新手法が開発されたという。これはWashington University in St. Louisのチームによる研究成果だ。
これまで困難であった、塩分が含まれている水を直接電気分解することを、Washington University in St. Louisが可能にしたというのである。
仮に火星で私たち人間が生活しようと思った場合、物理的にどのような物質が必要だろう?必須の物質としては、水と酸素が挙げられる。
なお、酸素は下記の反応式で、水を電気分解することで生成することができる。
2H2O → 2H2 + O2
この式から分かるように、水の電気分解により、酸素に加えて水素も同時に生成される。この水素は、燃焼等によりエネルギー源としても活用することができる。実際に水素は、宇宙船の燃料としてもすでに活用されているのだ。つまりこれらを総合すると、仮に水が存在している惑星で生活するのであれば、水の電気分解は人間がそこで生活する上でのカギになるのである。
新しい電気分解:塩分を含んでいる水でも利用可能に
実は火星にもたくさんの水が眠っている。ただしそれが表面上見えにくいのは、そのほとんどが氷の形で存在しているからだ。氷になってしまうのは、もちろん火星の温度が非常に低いためで、その温度はマイナス50℃とも言われている。
これまでの前提を踏まえれば、火星で人間が生活するためには、氷を水に状態変化させ、その上でその水を電気分解することが必要ということになる。しかしながら問題をさらに厄介にしているのは、その氷の中に塩分が含まれていることだ。
通常、水の電気分解をする場合には、分解される水には塩分が含まれていない水を使用する。つまり、塩分が含まれている水を電気分解するためには、電気分解をするまでに水から塩分を取り除く必要がある。この水から塩分を取り除く作業は複雑で、費用がかかり、環境に害を及ぼす可能性があるものであるということだ。
以上を踏まえると、塩分が含まれている水から塩分を取り除かずに、直接電気分解することができれば、人類が火星で生活するために一歩前進できることになる。そしてこの度、塩分が含まれている水を直接電気分解することを、Washington University in St. Louisが可能にしたということだ。
ニーズの達成に向けて:目的を課題を明確にする
私はこのニュースを知り、ついに技術が進歩した!という喜びを感じつつも、この問題が解決するのは時間の問題だったとも感じている。それは、「人類が火星で生活する」という大きな目的の下、「塩分が含まれている水から塩分を取り除かずに、直接電気分解する」という取り組むべき問題が明確であるからだ。このように、多くの人が合意する目的の下、明確な課題に取り組んでいれば、人間は知恵をフル活用して解決していくことができると信じている。まとめると、このような課題解決のプロセスを踏むために、大切なことは大きく2つではないだろうか。
①大きな目的に当たる「将来こうなってほしい」という姿を、できるだけ詳細にイメージすること。
②その上で、目的を達成するために障壁となっている課題は何か、情報収集をして明らかにすること。
だからこそ私たちは、①のために「ニーズを集約・可視化し」、その上で②のために「ニーズの大きい各分野の最先端技術に関する記事の投稿」を続けていきたいと考えている。
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