宇宙の3Dマッピングが可能に

宇宙

 みなさんは宇宙と聞くとワクワクを感じるだろうか?近頃は、宇宙の話がひっきりなしに報道されている。米国スペースX社の民間人による宇宙旅行、同じく米国バージン・ギャラクティック社の宇宙船の試験飛行のニュースなどだ。加えて日本の宇宙産業だって負けていない。北海道大樹町に本社を置くインターステラテクノロジズ社による民間ロケットによる宇宙空間到達、東京都墨田区に本社を置くアストロスケール社による宇宙デブリの回収計画など、話題には事欠かない。
 これらの一連の流れは、宇宙産業が民間の手に移ってきていることに由来する。民間の力によって、開発のスピードが各段に向上しているのだ。

宇宙の3Dマッピング

 上記とはやや経路が違うが、宇宙研究における大きな進歩が標題の「宇宙の3Dマッピング」だ。この研究成果は、アメリカのニューメキシコ州の望遠鏡から収集されたデータを使用して宇宙をマッピングするというもので、20年にも及ぶ一大プロジェクトの成果だ。
 3Dマッピングは200万を超える銀河とクエーサーの位置と距離を明らかにしている。なお、「クエーサー」は中央の超大質量ブラックホールに落下する物質によって照らされた明るい銀河と定義され、とても明るすぎるために光学望遠鏡では内部構造が見えないと言われている。これらの銀河やクエーサーの観測された角度位置と、赤方偏移を観測することによって得られた地球からの距離をマッピングして示している。「赤方偏移」とは、遠方から届く電磁波の波長について、電磁波のドップラー効果により波長が長くなる現象を指す。この現象が観測されることは、宇宙が膨張していることを示す証拠になると考えられている。

 なお、下記リンクから、宇宙の3Dマッピングに関するYoutubeに公開されている動画を見ることができる。全編英語だが、そのグラフィックをお楽しみいただきたい。

マッピングの目的:全体像から問題を整理する

 このマッピングという作業、非常に大切な作業であり、実は古くから人類が知恵を絞って取り組んでいるものだ。人類が作成したマップ、それは地球の陸地のマップだ。
 マップ、つまり地図はなぜ必要なのだろう?私は地図が必要な理由を、その全体像を捉えることで、問題を整理するためだと考えている。
 思えば正確な日本地図ができたのは江戸時代。これは戦乱の世から平和な世の中になって、日本全体を「統治」する必要が出てきた時代と言うことができる。例えば統治するに当たっては、正確な年貢の取り立てのためにどこにどのぐらい田んぼが広がっているのかを知る必要がある。また、一揆が起こることを想定するに当たっては、どこにどのぐらいの住民が住んでいるのかを把握し、どこでどのぐらいの人が一揆の勢力になりうるのかを管理しておく必要がある。これらの「日本を統治する」という問題の整理のために、地図を用いて日本の全体像を把握する必要があったのだ。
 世界地図についても同じことを言うことができる。大航海時代を迎え、ヨーロッパの国々が世界中を植民地化するという問題の整理のために、世界の陸地の地図が作られたのではないだろうか?
 これはおそらく、「仕事」における問題の整理とも同じだ。仕事における問題を整理したいと思ったとき、例えば業務フロー上の問題を整理して解決したいと思ったとき、最初に行わなければいけないのは全体像を把握して「業務フローの地図」を描くことだ。

 そう考えると「宇宙の地図」ができたことは、宇宙における問題の解決に向けた大きな一歩であると言うことができるのではないだろうか。これにより宇宙の全体像が分かり、問題の整理、そして解決につながるのである。

 今後はどんなサイエンスや技術領域のマッピングが進み、ニュースになって私たちに届くのだろうか?全容を把握して解決したいものが人類の前に広がり続ける限り、人類によるマッピング作業は続いていく。

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